※もうちょっと経ったらタイトルも内容に即したものにします※
2021年2月にニトロプラス・キラルから発売された成人向けBLゲーム、スロウ・ダメージ。
「まんじゅう怖い……」さながら発売時から情緒を揺さぶられることを恐れて、paradeさんの「ルームナンバー9」と同じニトキラ先生の「咎狗の血」「sweet pool」をプレイしてまんまと情緒を破壊され、もう怖いものはないと勇んでプレイを始めました。
まだまだフルコンプには遠いですが、あまりに言いたいことがたくさんありすぎるけど、これからプレイする人には見てほしくない…!という気持ちで日記をしたためます。
一言だけいわせてくれ。
トワ、お前もまた……傾国のえっちボーイだったのか……。
(いや普通に過去作から比べて、ライターさんと、あとディレクション・制作進行管理の方のスキルが爆上がりゲームじゃありませんか? byドラマダに死ぬほどハマった人より)
二言になってしまいました。
何はともあれこれから先は未プレイの人は見ないでください。絶対見るなよ!!!!プレイしてくれ!!!!お願いだから!!!!情緒破壊されてふらふらになってからここにきてくれ!!!!
感想その①「世界観がやばいぞ ~AKIRAが来る(まじで)~」
2021年2月ニッポン。スロウダメージが発売された現在、どんな状況かというと……
- 567が世界中で蔓延
- 同時に経済的な打撃が大きく、世界規模での貧困が進んでいる
- 貧困が進むとともに、あらゆる差別や格差、特に人種差別が顕著に(BLMやアジア人へのヘイトクライムなど)
- 日本でも中国人・韓国人への差別感情が顕在化、貧困や格差が進む
- SNSでの誹謗中傷(=暴力)が激化しやすくなっている(法整備も進んでいるが有名人の自殺者も出ている)
- 2020年に予定されていた東京五輪は2021年に延期。しかし元会長の女性蔑視発言や、献金での招致疑惑、広告代理店の予算中抜き問題や開会式の演出チームの不祥事などなどなどなど……パンデミックも相まって「マジでまだ五輪ヤルつもりなんですか?(やるつもりらしい)」ムードisあります
- 567で「日本の政治、末期~」感が顕在化される(別に今までが末期じゃないわけじゃなかったけど)
- 2020年、全国の自殺者が11年ぶりに増加。
そこに「21世紀初めに行われた4年に一度のスポーツの祭典は記録的な失敗に終わった」から始まるBLエッチエームが発売されました。
ついでに「20~30代の非正規雇用が60%を超えた」とか妙にリアリティのある数字と状況が描写される。(数字はちょっとうろ覚えです)
そして主人公が務める内科皮膚科消化器科クリニックにくる患者に精神が不安定な人が増えていることへの「心を病んでいる奴が多いってことだろ」という主人公の冷めたコメント。まるでこんな世の中じゃ当然だとばかりに。
「咎狗の血」や「ドラマダ」のポストアポカリプスだったり、どちらかというとディストピア的な近未来世界観を打ち出してきたニトキラ先生。
でも今まではどこか「ファンタジー」「記号的」な世界観でした。あーうんうん、ディストピアディストピア。オタクこういうの好きだよねえ、厨二心が疼きます。って言う感じともとらえられるような。
でも、スロウ・ダメージは一歩進んで、明らかに「現実の2021年を意識した、現在から地続きの近未来SF」なんですよ。ニトキラ先生、思想が濃い……最高です。
単純な世界観だけではなくて、いろいろな物語の節々に「価値観の変遷」というSF特有のワクワクもちりばめられています。同時に「変わらぬ人間の悪意の本質」みたいなものを。
既存作品でも要素として濃かった「社会に貧困と不安が蔓延するとともに、うっぷんを晴らすための暴力が若者に流行る」ことが妙にリアリティを持ってしまったり。
貧困とともに、無国籍の人間が増えたり、同時に明らかに東アジア~東南アジア系のキャラクターも散見されるようになったり。
同時に有志のチャリティが善意で運営されるとともに、広告塔にもなる皮肉。そういう悪とも善とも判別のつかないシーンだとか、妙に巧みだな~と思います。
それと、これはドラマダの舞台である碧島のプラチナ・ジェイルとも似ていつつ、パ○ナの淡路島のビジネスモデルを現実に目撃してしまった後だと、スロウダメージの舞台である「新神海」はどこかこの件ともリンクしてしまう……
BLゲームとはいえ、私の大好きな「高い塔の男」「1984」という歴史IFのサイエンス・フィクションにも通じるような要素が、より克明に、そして明確にメッセージとして込められているような気がするのは思い過ごしではないんじゃないかなあ。
エンタメの姿勢として最高~~!SUKI~~~~!Fooooo!と思いながらゲームを進める私…
多分ここまでの情報だけで1時間もプレイしてないと思います。大丈夫か私。
感想その②「主人公・トワがやばいぞ ~傾国のえっちボーイの遊び人スキルがやばい~」
起き抜けに煙草、空腹を感じれば酒、昨晩は行きずりの男と路地裏でエッチ。
皆さん、立派なダウナー系酒乱ヤニカス淫乱ビッチ主人公ですよ。
ちなみに、名前のあるキャラクターだけでも二人もセフレが出てきます。遊び人だ…!
そして体の関係はなくとも、顔がよくてモテる男たちに世話を焼かれるトワちゃ……傾国……(?)
しかし、トワちゃ、ただの「傾国」という設定なわけではない。(「傾国」というのは私の勝手な設定の命名ですが、おおむね間違ってません。)
ぼーっとしているけど、嘘つかないし、人に世話焼かれるのを嫌がらないし反応は素直だし、「めんどうだ」とかなんとか言いながら、(基本的に暇なので)付き合いがいいし、構ったら構った分だけ懐いてくれる感もある。
愛されの才能が……ある……
あっちからもこっちからも「何かあったら助けてやるよ」と言われるトワちゃ。
愛されと世話焼かれと生命の危機の芳しい香りを放っているんだろうな。
おまけに本気になれば話術も巧みだし、普段憮然としているくせに、微笑みができるんですよ。えっちな ほほえみが できる んです よ。
そう、つまりトワちゃは、ただのダウナー系淫乱ビッチじゃないんです。
元ヤのダウナー系酒乱ヤニカス愛され淫乱ビッチなんです。
おまけに人間の後ろ暗い欲望を全肯定してくれる天使……小悪魔……いや大悪魔です。落としに来ますからね。
あと遊び人として、セックスの相手として「モテるな~」と思うのは、自分が乗り気じゃないプレイだとしても、極力相手に合わせて一緒にプレイしてあげることです。いい子なんですよね。遊び人としてのスキルが高い。だからリピートの要望も多いんだと思います。(?)
あとバーで酒を頼むときの声はデカい!というのをフォロワーさんが言ってて確かにそうでした。立派な酒乱です。同じ酒好きとしては元気になる設定ですね。ニッコリ
そんなキャラクターとしての一つ一つの設定がただの「記号」ではなく、説得力のある描写によって「リアル」になっているのがトワのいいところだな~と思います。好き嫌いのわかれるキャラクターでありながら、どうしても憎めない感じなんじゃないでしょうか。
感想その3 ~勝手に制作チームのスキルのぶちあがりがヤバいと推測する~
ニトキラ先生の今までの作品もライターさんの表現力や語彙力、文章力が好きでした。
が、例えばゲームという特性上、小説のように段落で誤魔化したりができず、プレイヤーとゲーム内の時間の流れを同期するために、「いらんシーン」が冗長に挟まることがあったりして、ちょっと集中力が削がれる部分がありました。特に序盤。
しかし、スロウ・ダメージではそういう「いらんシーン」が極力削られています。その上で、プレイヤーとゲーム内の時間をそろえるために、シーン展開ごとに日付と時間が表示されるので、時間の流れが迷子になることもない。
トワの主人公としての新鮮さ、それでいてリアリティのあるキャラクター造形の立体感と合わせて、ライターさんのスキルが爆上がりしてる!と感じました。
また、深読みも深読みですが、この精錬された物語構成やゲーム演出、制作過程ごとの戻しややり取りも相当やったんじゃないかな~と推測されます。
上流から下流過程への一方通行ではなく、ここまで整然としたコンテンツの制作においてのディレクション・制作進行管理の手間も考えると泣きそうですが、おかげでこんなに面白いゲームを体感できると思うと感謝しかないです。
これだけ無料でできるソシャゲがたくさんある中、お金を払ってするゲーム、成人向けという付加価値だけでなく、物語の面白さはもちろん、ゲームをする上でのストレスがなくてすごいな~と思いました。顧客満足度のハイスコアを狙ってきています。
とまあプレイ日記第一弾はここまで!
次回!「ちょっとそれは解せぬ展開であるぞよ」と「倫理規定って、もしかして……仕事してない?」等を予定しております。お楽しみに!
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